INTERVIEW
好きを仕事に!「サロネーゼ」というライフワークの実現へ
趣味なび大学編集部 小林/撮影:新井克己
桔梗 有香子先生
桔梗 有香子先生
兵庫県芦屋市で、年間5000名が通う阪神間最大規模のトータルお稽古サロン&カフェCUICUIを経営。
前職は全国にある大手料理教室で、エリア責任者や執行責任者として14年間勤務し、レッスン・メニュー開発・20店舗以上の店舗運営をする中で、1000名以上の女性スタッフと、1万人以上の生徒様と直接関わる。
プライベートでは5歳・10歳の子を持つ2児の母であり、育児をしながら好きを仕事にして輝ける『サロネーゼ』という職業を日本に定着させ、未来の女性につなげていくために一般社団法人日本サロネーゼ協会を設立し活動している。
2019年6月に新たな著書、『かんたん かわいい たのしいケーキポップス』を日東書院から出版するなど9冊のレシピ本に携わっている。
サロネーゼとの出会い
自分の好きなことや得意なことを活かして、ご自宅で教室を開く女性のことをサロネーゼと呼んでおります。私たちはサロネーゼになるための資格取得講座を開発・開講しています。また、場合によっては資格取得後も集客をしたりなど、資格を取得された方が10年後もサロネーゼとして輝けるように、協会として様々なサポートを行っています。
元々は、自分自身が大手の料理教室で教室の運営を主にしていましたが、結婚して子供が生まれて、当時は兵庫県から、担当していた名古屋、静岡のエリアまで毎日新幹線で通勤していました。そのような状況もあり、子育てをもっと自分の手でしていきたいなという想いと、仕事と育児のバランスを自分で好きなように決めたいという想いから、サロネーゼになる決断をしました。
サロネーゼという女性の仕事の形
決断後は、自分でサロネーゼとして兵庫県で料理教室を始めたのですが、有難いことに1年半ぐらいで生徒様が増え、月に250人、年間に換算すると、3000人を1人で教えるようになりました。その時に、やはり1人では教えきれないようになっていきました。また、通ってくださる生徒様達から「先生みたいに自宅で教えられたらいいな」という声をよくいただいていたので、自分自身もサロネーゼという働き方がすごく楽しかったですし、そういうライフワークをもっと広めていきたいという思いが強くなっていきました。また、初心者や主婦の方が短期間で技術を身に着け、講師になれるようなカリキュラムを作り、好きを仕事にできる女性をもっと増やしていきたいという想いが大きくなっていきました。
最初に材料や道具を仕入れて在庫を持つことは、開業するうえでリスクやハードルになります。
自分自身がサロネーゼだった時の経験を活かして、在庫をなるべく持たなくても良いように、講座のたびに協会からキットを配送する仕組みを構築したり、毎日買い出しに行かなくても、なるべくストックできるようなものを講座で使用し、レッスンの準備負担を減らせるように心がけています。
日本サロネーゼ協会の役割
自分だけで沢山の生徒を教えていくことが、物理的に難しくなってきたので、集客がしやすくて、可愛らしいコンテンツを教えられる方がもっと全国で増えていったらいいなぁ、そして好きを仕事にできる女性を増やしたいという気持ちが強くなったことが協会を設立したきっかけです。その時に個人でディプロマを発行するよりも、一般社団法人として、永続的に資格を取得した方をサポートし続けられる体制を作りたいという想いで協会設立を決意しました。
今年の6月で講師輩出人数が1万人を超えました。また、同月に、運営会社であるサロネーゼ株式会社が、経済産業省中小企業庁より2019年度の『はばたく中小企業・小規模事業者300社』に選定され、女性の職業創出や日々の取り組みを評価していただきました。
この8月で当協会は6周年を迎えるのですが、たくさんの講師の皆様に支持をされ、また光栄な賞をいただきとてもありがたく感じています。
そして、本日のイベント※1『かんたん かわいい たのしいケーキポップス』の出版記念として6月25日に日本サロネーゼ協会自由が丘本部校で開催された1DAYレッスンイベント当日に取材で教えている講師は、協会で資格を取得した本部講師となります。資格を取得した方の活躍をこうして見ることができるのが、とても嬉しく、協会を設立して良かったと実感する機会にもなっています。
それから、子会社になりますが、海外にもサロネーゼ協会がございます。それぞれで独立した会社なのですが、月に1回日本から講師が現地に行き、日本の技術を教えております。今、子会社は台湾と香港とシンガポールにありまして、私自身も立ち上げの時や、現地のスタッフ・生徒様・取引企業の方とミーティングをする目的で定期的に足を運んでいます。
失敗を恐れずチャレンジする環境へ
私の中で、今までに2つの大きなチャレンジがありました。
1つ目は材料や道具の輸入事業です。材料や道具をイギリスから輸入販売しているんですね。まずイギリスに技術を学ぶために通っていたスクワイヤーズキッチンというスクールがありまして、そこで使っている材料がすごく良くて、品質が高くて、味も素晴らしくて、色も素敵で、何とか日本に持っていきたいと思ったんです。しかし、やはり会社の規模も全然違うし、食材を輸入するにはコストも掛かるし、知識も必要です。でもやはり自社でやってみたいと思い、様々な交渉や契約、輸入の手続きまで、すべて自分たちでやってきました。やっと入ってきた材料が関西空港に入ってきた時点で、これは日本に入れられないということで、全部破棄になってしまったこともありました。そういう失敗なども多々ありましたが、そのおかげでたくさんの知識と経験が身につき、今は安定的に素敵な材料が入荷できるようになっていますし、日本でも着実に商品が広まっています。講師の方々がすごく気に入って使って下さっていたり、こういう(出版した書籍)本も全部スクワイヤーズキッチンの材料を使うことでより素敵に作れたり。私達が今まで苦労して3色4色混ぜて作っていた色が1色で表現できることに感動しましたし、イギリスならではの繊細でおしゃれな色味は、講師をはじめプロの方からも高い支持を得ております。
もう1つのチャレンジは、海外への進出です。海外に進出するというのは凄く大きな決断でした。海外に独自に子会社を設立ましたが、始めは何から行動すればよいのか全く分からないところからのスタートでした。行動するうちにどんどん支援してくださる方が増えていき、3社を設立することができました。
3カ国に子会社があり、スタッフがいて、好きを仕事にする女性が海外で増えていくことは、とてもやりがいを感じています。先日、年に1度講師が全国から集まるカンファレンスが開催されたのですが、香港と台湾のスタッフも来てくれて、各国のスタッフと大切なイベントを運営できたことに感動しました。
初めてのことは、やはり何事もパワーが必要で大変なんですけれど、たとえ失敗したとしても経験として身につきますし、すべての行動が今に繋がっています。大変だったけれども、やって良かったなと思うことが多いです。
協会としては、講師の皆様のためになること、喜んでいただけることにどんどんチャレンジして行こう!という方針でやっているので、迷うならチャレンジしてみよう!とスタッフと一緒に頑張っています。
子どもにも喜んでほしいから作りたいケーキポップス
今回書籍が6月に発売されたので、その出版記念ということで、この度のイベントにてケーキポップス作りの体験をしていただきました。ケーキポップス自体はまだまだ日本ではこれから広まって行く段階のスイーツで、海外のお店やケーキ屋さんでは売られていたり、ケーキポップスの専門店というのが沢山あるのですけれど、日本ではまだお店も少なくて、知らない人も多いです。意外と作り方も簡単でとてもおいしいので、ぜひ体験して頂きたい、これからケーキポップスの楽しさや可愛さを広めていきたいという想いがあり、今回イベントを開催させていただくこととなりました。当協会は8割ぐらいが小さなお子様がいるお母様が先生ですので、こうして作って持って帰ったときに子供がすごく喜んでくれたという声を聞くと、とても嬉しく活力になります。
今だからこそ広めたいビジョン
それから協会のビジョンになるのですけれど、今日本に1万人の講師がいて、海外でも少しずつ広まってきているので、10年後には世界中に10万人のサロネーゼを増やして行きたいと考えています。日本だけじゃなく、やはり好きなことを仕事にしたいという気持ちは国の隔たりは関係なくて、本当にみんなが思うことだということを今海外に進出してみてとても実感しています。子供が生まれたら、子育てをしながら、子供が学校に行っている間などの限られた時間の中でお仕事ができる。結婚・出産・育児や介護など、置かれている環境が変わりやすい女性にとって、サロネーゼという働き方はワークライフバランスを自分で決められる素晴らしい働き方だと思っています。日本ではサロネーゼという働き方がどんどん浸透して定着していると実感しているのですけれども、海外ではまだまだサロネーゼが少ないのも現状です。生活が大変でそんな簡単には実現できないよ、と思われている方も多いからこそ、この日本のサロネーゼという文化を世界中に広めていきたいです。育児と両立しながら好きなことを仕事にして、休みたい時は休んで、という働き方ができる女性を、これから10年で10万人まで世界中に増やしていくことが私の目標であり、サロネーゼ協会の使命だと思っています。
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↑1 | 『かんたん かわいい たのしいケーキポップス』の出版記念として6月25日に日本サロネーゼ協会自由が丘本部校で開催された1DAYレッスンイベント当日に取材 |
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