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INTERVIEW

「好きなこと」を仕事にすることについて 〜松井みさきさんの場合〜

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松井みさき(misaki matsui)さん

写真映像作家

松井みさき(misaki matsui)さん

写真映像作家

広告会社でマーケティングプランナーとして勤務したのち、写真家を目指してニューヨークへ。アートの学歴も実績も人脈もない中、 ほぼ独学にて写真、映像の技術と感性を磨く。2012年、インターナショナル・フォトグラフィー・アワードに入選。2014年、初監督映像作品「white sea」が ロンドンのレインダンス映画祭に入選、脚本・監督を手がけた短編映画「KASUMI」がモナコ国際映画祭に入選。2017年には監督・ 撮影・ナレーションを務めたドキュメンタリー映画「ケンジとケイスケと –ブルックリン ニューヨーク–」がショートショートフィルムフェスティバル&アジア ジャパン部門に入選、2018年にドキュメンタリー映画第2作目の「ペルシャからの風」がなら国際映画祭で上映されるなど、世界でも認められる映像作家に。すべての作品を通して共通のテーマ「no moment without hope」を持ち、人々に希望を思い起こさせることを使命としている。現在は東京とニューヨークを拠点とし、写真撮影、映像制作、ワークショップ開催、イベントへ出演、大学講演などマルチに活躍している。今年ニューヨークにて東京の風景写真集を出版予定。 

「好きなことを仕事にしたい」「自分らしく何かを表現したい」「大きな夢に挑戦したい」と考えていても、実行する勇気がなかったり、周囲からの批判を気にしたりして、諦めてしまう人は多いもの。今回取材させていただいたのは、自分らしい生き方を求めて、安定した会社員の生活を辞め、単身ニューヨークへと渡り、実績も人脈もない中から、世界で認められる写真映像作家へと転身を遂げた松井みさきさん。日々前進していくためにみさきさんが大切にしている価値観や想い、その原動力について迫りました。

子どもの頃から創作することが好きだった

祖母が水墨画の先生、母も趣味で油絵を描いていた影響もあって、子どもの頃から絵を描いていました。
自分でストーリーを考えて漫画を描いたり、学校の発表会では脚本を書いて、寸劇を演出したりしたことも。絵を描くだけではなく、お菓子作りや手芸など、とにかくなにかを「創作」することが好きだったんですよね。

美術系の大学への憧れはあったものの、家族の勧めや周囲に流される形で一般の大学へ。それでも、将来は創造性が発揮できる仕事に就きたいと思っていたので、クリエイティブなイメージのある広告会社へと就職しました。

広告会社では、マーケティングプランナーとして数え切れないほどの企画書を書き、プレゼンテーションを行い、さまざまな企業のブランド戦略を行うなど、忙しい生活を送っていました。

仕事は楽しんでやっていたつもりですが、一方で「これが自分が一番やりたいことなのか」と、悶々とした気持ちも。かといって、何をやったらいいかが明確にわからなかったので、行動を起こすことはできませんでした。

社会人1年目のボーナスで買ったカメラが運命を変えた

大人になってからも絵を描くことは好きで続けていて、油絵教室に通っていました。しかし、油絵はたくさんの道具を持ち歩かなければならなかったり、乾くのに時間がかかったりするので忙しいライフスタイルの中で続けるのがむずかしく、断念。

油絵に代わって私の趣味となったのが、社会人1年目のボーナスで初めて買った「カメラ」でした。カメラはカバンの中に入れて持ち歩いて、ふとした時に撮影できるので自分のライフスタイルに合っていると感じました。

写真教室に通って基礎を学び、そのあとは独学で撮り方を追求。人物の表情や自然の風景を直感的に切り取るおもしろさを感じて、どんどん写真の魅力に惹かれていきました。

Photo: Akira Okimoto

人生最悪の時が、チャンスに変わる

そんな中、人生最大のピンチが訪れました。辛いこと、苦しいことが重なり、八方ふさがり状態に。なんでこんなことが起こるのだろうと、胸がつぶれる思いでした。この状況から脱するためにはどうしたらいいのか?自分自身と向き合って真剣に考えました。

「人生で本当にやりたいことは何なのか」「私は何のために生きるのか」自分に問い続けたのです。

これまでは広告会社で何となくクリエイティブな世界に身を置いていたものの、私が小さな頃から本当に好きだったのは、もっと創造的で、アーティスティックな世界。
自分が表現したいことを形にしながら、自分に正直に生きたい。

写真を趣味で終わらせるのではなく、写真家として生きたい。ふつふつと湧き出てきたその想いはやがて抑えられなくなり、私は一念発起して、カメラを片手にニューヨークへと渡りました。人生で一番辛い時期だったからこそ、「今なら怖いものはない、逆に今ならなんでもできる」という気持ちでした。

 すべての出逢いを縁に変える

ニューヨークを選んだのは、国籍も年齢もバックグラウンドも関係なく生きられそうな街だと思っただから。

美大出身でもなく、アシスタントの経験もない、年齢的にも遅いスタートの私が写真家を目指すのに、世界で唯一の街だと感じたからです。
とはいえ、何のツテもない、ゼロからのスタート。

まずは作品がなければウェブサイトも作れないので、ひたすら写真を撮ってポートフォリオを作りました。同時に、人と会うことでヒントが欲しかったので、興味のある人にどんどんアポイントを取って会いに行きました。

ニューヨーカーたちからは、その「行動力」を褒められるようになり、2年経った時には「もう10年くらい住んでいるかと思った」なんて言われるくらい、人脈の輪が広がっていましたね(笑)。

ニューヨークは「People come and go」 と呼ばれるほど人の入れ替わりが激しい、出逢いと別れの街。私自身、“今、この瞬間の” ご縁や一期一会の感覚をとても大事にするようになりました。

肩書きや履歴書などの情報よりも、自分の目の前の人に対して感じた直感やバイブレーションを大事にするのもニューヨーカーの特長。気が合ったり話が合ったりすれば、「今度食事しよう」「仕事しよう」「コラボしよう」となり、具体的にいつかを決め、すぐに行動に移す人が多いです。

日本人はそのあたりはわりと慎重で、時間をかけがちかと思いますが「いつかやろう」は「一生やらない」になりかねないので、私はニューヨーカーを見習って「今すぐ行動する」の習慣をつけるようになりました。

PHOTO: misaki matsui「we are the universe」より「sky」

no moment without hope

一眼レフ1台で写真も映像も撮れる時代になり、ニューヨークへ渡って6年目で映像の創作も始めました。

写真家としては風景・人物写真の写真展を日米で開催したり、インターナショナル・フォトグラフィー・アワードに入選、また映像作家としては、レインダンス映画祭、モナコ国際映画祭、ショートショートフィルムフェスティバル & アジア、なら国際映画祭などで作品が上映されるなど、ニューヨークに渡ってから10年、自分の力を信じてやってきたことで活動の幅が広がってきました。

「no moment without hope(希望のない瞬間はない)」これは私の活動のテーマですが、写真、映像、そしてワークショップやイベントなど活動のすべてを通じて、人々に希望を与える作品を生み出していきたいと思っています。

私の場合は、マーケティングプランナーから写真家になり、そこから映像作家にもなったので、キャリアパスがユニークですが、「人」自体に興味があるので、自分のなかでは写真、映像の垣根なく撮影ができますし、差別化のためにもマーケティングプランナー時代のリサーチやインタビューの経験を写真集制作やドキュメンタリーなどに役立てているのですべてがつながっていると思っています。

ワークショップでも、プランナー時代のコミュニケーションやプレゼンテーションスキル、写真映像作家としての撮影とディレクションスキルを活かし、「キレイな撮り方・撮られ方」のアドバイスをしています。

方法としては、参加者の方にフォトグラファー、モデル、スタイリストの全ての役をしていただき、技術的なことだけではなく、コミュニケーション方法やポージングなどについても含めて、ヒントをお伝えしています。

「撮る」「撮られる」体験を通じて、生徒さんが「私ってこういう個性があったんだ」と、これまで自分自身ですら知らなかった魅力を発見してくれたり、自分を好きになってくれたりする方が多いです。

そのように、参加してくださった方に少しでも希望や喜びを与えられることが、とてもうれしいですし、それが私の生きがいでもありますね。

2017年にショートショートフィルムフェスティバル&アジア ジャパン部門に入選したドキュメンタリー映画「ケンジとケイスケと – ブルックリン ニューヨーク -」

直感を信じて、行動する

好きなことなら、ときに理不尽なことがあっても、納得し、辛抱し、乗り越えることができます。また、どんなに辛い時でも、希望の光は必ずあると思っていて、ピンチの時こそ大切なヒントが隠されていたり、逆境だからこそ強く立ち上がることもできる。だから失敗、傷心を繰り返しながらも、マイナスに考えるのではなく、希望を見据えて、考えて、行動して、一歩一歩進んでいくことが大事だと思います。

「これは私にしかできない」と思えるまで突き詰めたものが見えると、それが揺るぎない信念になりますし、人生のモチベーションにもなります。

あと直感も大事。

ピンときたり、サインだなと思うことは逃さないように。

「個の時代」といわれる今、自分の想いや考えを発信したり、個人の行動によって世の中に変化を作り出す、ということがしやすくなっています。

自分らしい生き方がしやすくなっている時代ですから、なおさらのこと、今、なんとなく気になっていることや、昔からずっと心にある想いがある人は、すぐにやってみるのがいいと思います。

すぐに行動するクセをつけるには、小さなことからクリアしていくこと。
今日これをやると決めたらやる。
そして今週やりたいこと、今月やりたいことを書き出し、こなすこと。
自分の魂がやりたがっていることに耳を傾けてあげると、自分自身と自分の人生を大切にできるようになると思いますね。

misaki matsui
オフィシャル・ウェブサイト(作品)
www.misakimatsui.com
セルフブランディング ・コンサルティング
www.misakistudio.com

取材協力TSUTAYA BOOK APARTMENT

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