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INTERVIEW

生徒さんをつかんで離さない、コミュニケーション術とは?

趣味なび大学編集部 石川名月

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こばやし ゆみこ先生

フードスタジオ アトリエ セ・ミニョン

こばやし ゆみこ先生

フードスタジオ アトリエ セ・ミニョン

貿易関係企業のOLから転身、パン教室を開校。根津でアトリエセミニョンの前身となるお教室をはじめ、2006年よりたまプラーザでアトリエセミニョンをスタート。唎酒師やカクテルスペシャリスト、シュガークラフトの資格も持ち、パンづくり、料理、お菓子づくりを組み合わせたレッスンを行っている。第3-4回 シュガークラフト 日本大会 2年連続クラフト部門1位。第6回 シュガークラフト世界大会フリースタイル部門1位 。SSI認定きき酒師。日本ソムリエ協会 ワインエキスパート。

学校ではない、小さなお教室ならではのメリットを生かして

もともと、パンをつくることが好きで、OL時代からいろいろな教室に通ってパンづくりを学びました。学べば学ぶほど奥深いパンの世界に惹き込まれていき、ついには脱OLしてパン教室の講師へと転身。パン屋さんや料理人ではなく「教室の先生」になったのは“人に何かを伝えること”が好きだったからです。

最初は大きな学校の講師として働きました。教育システムがきちんと組まれた学校で、生徒さんはジャンルやレベルに応じた複数のコースから選べて、しっかりしたテキストはもちろん、体形的なカリキュラムが組まれていました。
何らかの事情でお休みをしても振替授業を受けられるシステムも。大きな学校ならではの充実した環境がありました。

いよいよ独立して、アトリエ セ・ミニョンを立ち上げる時、コース制ではなくすべて「単発レッスン」にしたのは、私一人の小さなお教室では到底、前の学校のような充実した環境は用意できないと感じたから。

たとえば、5回コースで1回でも来られない日がわかっていたら生徒さんは申し込まないでしょうし、それを補うには振替授業を用意することが必須。でも振替授業のシステムって管理するのがとても大変なんです。
生徒さんによっては来られる時間帯は違うので、昼、夜と2~3回は振替できるチャンスを用意しておかなければなりませんし、つねに生徒さんの出欠状況や進み具合をつねに考慮しなければなりません。私一人では振替のシステムをきちんとつくる自信はなかったので、それなら「1回完結の単発レッスンをいろいろつくって、好きなもの受けてくださいね、というシステムのほうがシンプルで、おもしろくていいじゃない!」と思い、すべて単発レッスンというスタイルにしました。

月によって違いますが、たとえばある月は、9種類のレッスンを用意し、計21回の単発レッスンを行いました。パンだけでなく、料理、お菓子、ワイン、日本酒など、さまざまな要素を掛け合わせたレッスンをその時々で企画。
単発レッスンを回遊することでいろいろな力がつくというかたちにしています。毎回準備もちがいますし、頭の切り替えも大変ですが、生徒さんには楽しんでいただけるので、それが私のモチベーションとなっています。

参加者のみんなを満足させるコミュニケーション術

レベル別のレッスンは用意していないので、基本、初心者もベテランもみんな一緒にレッスンを受けていただきます。1回のレッスンはMAXで6~8人。

生まれて初めてパン生地を触る人と、パンの先生をしているプロが、同じレッスンを受けることもしばしば。それでも、同じように満足してもらう授業にするために、「コミュニケーション」にはかなり気を使っています。

まず、基本的なことですが、予約が入ったら生徒さんのリサーチは欠かしません。初回の生徒さんなのか、既存の生徒さんなのかはもちろん、これまでの受講履歴、前回はどのレッスンを受けてどんな会話をしたかなどを思い出しておき、生徒さんがいらしたら「前回の〇〇パンの時にはこんなことに困っていたよね」といって、その前にお会いした時のことを触れるようにしています。
先生が憶えていてくれることは生徒さんにとってうれしいもの。レッスンへの意欲も変わってくると思います。忘れてはいけないようなことについては、記録をつけることもあります。

レッスンが始ったら、まず自己紹介をしてもらうのですが、その時の質問の仕方もひと工夫。たとえば「今日はなぜ受講しようと思ったの?」と聞くと、ちょっと抽象的でみなさん答えに迷ったり、表面的なことしか言わないんですよね。

そこで、「今日はこういうことを知りたい!ということがあったら教えて。
そこに重点を置いて授業を進めていくからね」と、具体的な質問をしてみると、「家でパンを焼いたときにここがうまくいかなかった」とか「この材料の使い方がわからない」とか、具体的に話し始めてくださるんです。

また、初心者さんはベテランさんと一緒のレッスンを受けるというだけで尻込みしてしまうので「何でも何回でも質問してね」「いつでも声をかけてね」と、安心してレッスンを受けていただけるよう常に目配せしています。
初心者さんの質問はベテランさんにとってはつまらない内容かもしれませんが「こばやし先生だったらどう答えるんだろう」「こういう伝え方もあるんだな」と、感じていただけたらと、前向きに捉えています。

ベテランさんがとてもマニアックな質問をされることもありますが、初心者さんには「今はよくはわからないかもしれないけど頭の中に入れておくといずれ役に立つかもしれないから聞いててね」とフォローしたり。「せっかくだから先生コース向けの内容もお話ししちゃおうかな」なんていって特別感を出したりしながら、どちらの方にも得しちゃったな、と感じてもらえる答え方をするようにしています。初心者さんもわかるように専門用語をなるべく使わないでかんたんな言葉で答えることも大事。
言葉の選び方や合いの手ひとつで生徒さんへの印象は180度変わることもありますから、一人ひとりの気持ちに寄り添って、声のかけ方を工夫しています。

開業から20年、のべ20,000人以上の指導経験を活かして

先生も人間ですから、体調が悪い日もあれば、落ち込むときもあります。「この仕事が向いていないんじゃないか」「辞めようかな」と思ったことは何度となくあります。でも、背中を押してくれるのは生徒さんたちの笑顔。
「先生、美味しかったよ」「こんなにかんたんにできるなんて驚き」という声や、ご自宅でパンをつくって「家族が喜んでくれました」と写真を送ってきてくれたりすると、本当にうれしいもの。私のレッスンでの一つのパンから幸せの輪が広がっているんだな、と思うと、元気が出るんです。

先生になって20年以上、のべ20,000人以上の生徒さんに教えてきました。今後は、先生としての経験を活かして、先生になりたい人、なってみたい人のプロデュースもしていきたいと思っています。

世の中には才能がある人、知識を持っている人ってたくさんいるんですよね。そういう方たちがその知識や技術を人々に伝えて学びの輪を広げていくことってとてもいいことだと思うんです。私は、これまでの経験からレッスンの組み立て方や生徒さんとのコミュニケーションなどのノウハウを持っているので、先生としての面をサポートさせていただくことで世の中の役に立つことができたらと考えています。
先生という仕事は本当におもしろい。だから、いろいろな人にこのおもしろさを経験してほしいし、先生として活躍できる人が増えたらもっとおもしろい世の中になると思っています。

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