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INTERVIEW

お母さんのための料理教室~家庭料理とアスリートフードレッスンへの想い~

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阿部 優先生

阿部 優先生

陽だまりきっちん料理教室主宰 阿部優 
2010年より大手料理教室にて講師として勤務。
2015年自宅にて料理教室を始める。

埼玉県大宮市(現さいたま市)出身 。6歳年上のご主人と子ども2人の4人家族。電気メーカーに13年勤務後、大手料理教室にて6年間、料理とパンの講師として勤める 。独立後、自宅にて教室を開業 。2人のお子さんは野球少年。上の子の骨折をきっかけにスポーツ栄養学の勉強を開始 。スポーツフードアドバイザー等アスリートフード系の資格を取得 。家庭料理を指導するとともに、スポーツ栄養学の講習会も手掛ける。

自宅で料理教室を始めたいという思い

私は料理教室をはじめる前からお料理することが好きでした。

もともとは電気メーカーでエンジニアをしていたのですが、仕事が忙しく、子育てが少し疎かになってしまっていたので、子どもが年長になる際に仕事量を減らし、元々好きだったお料理の道に進みたいと考えたのがきっかけです。

当時は10年くらいかけて自宅で教室を開けたらいいなぁ、と考えていて研修のつもりで大手料理教室に転職しました。働いていた6年間で多くを学ばせていただき、退職後、10年よりも早く自宅教室を開くこととなりました。

料理講師として会社組織に属していると、当然会社の方針があり、もちろん売上を上げないといけない状況もあります。すると生徒さんお一人おひとりときちんとお話しもできず、ご質問に対しての答えをお伝えするのに、次にお会いするまで長い時間がかかってしまいます。そういった点が自分のやりたい方向と違ってきて、生徒さんの質問などに直ぐに答えられる環境を考えた時、それは自宅での料理教室だと思い、独立を早めました。

また家庭にある普通のキッチンで作れるお料理、ごはん作りをお伝えしたいと思ったこと、もうひとつは、私は器が好きで、自分で集めた器を使って盛り付けなどもお伝えしたいという気持ちもあり、生徒さんとの距離を縮めて自分の趣味の世界、好きなものに囲まれてレッスンをしたいという思いが強かった点も独立を早めた理由です。

日々忙しい「お母さんのためのレッスン」がモットー

料理教室には色々な個性があり、とても華やかなパーティメニューやおもてなしメニュー、フードコーディネートと共に指導を行うお教室などたくさんあります。

私が目指しているのは、日常のなかでお母さんがご主人や子どものために作ってあげられるレシピやメニュー。レッスンで使うレシピは、開業から今までを通して「普段自分がお家で作る物をお伝えする」をモットーとしています。

盛り付け次第でご両親や親戚などの来客時や、色々な場面に応じたアレンジメントもできるような指導も行います。

このようなレッスンなので、生徒さんの多くはお母さんです。私と同世代で、お仕事をされながら小中学生のお子さんを育てている方が多いので、そういった方に役立つ情報を盛り込むことを心がけています。例えば、お弁当のおかずのバランスや、夕飯に使った料理をお弁当に上手に利用する方法、冷凍方法など。

「今日のメニューは保存して、お弁当にはこう入ります」というところまで、実際に冷蔵庫を開けてお見せすることも。

構想4年!【アスリートフードレッスン】が出来るまで

今年の1月から始めた「アスリートフードレッスン」

発育や運動量に合わせた、子どもの体作りのための料理レッスンです。

この「アスリートフードレッスン」が出来たきっかけは、野球チームに所属していた長男の怪我です。もともとスポーツはそれほど得意ではなく、ずっとベンチを温めて悔しい想いをしていた長男が、4年生の秋頃にようやくレギュラーとして活躍しはじめた矢先、腕を骨折し1年間試合に出られませんでした。その時、親として骨折の原因は「カルシウム不足?」「ほかに原因があるの?」と色々と考え、原因が知りたくて調べ始めました。

しっかり深く勉強してみようと調べているなかでスポーツ栄養学と出会い、発育のための栄養の摂り方とスポーツをする子どもの栄養の摂り方に違いがあることを知りました。スポーツ栄養学に関する民間の資格はたくさんあって、多くの資料やテキストを取り寄せました。スポーツ栄養学は、今のパフォーマンスをより良くしていくためにどうしたらよいか?ということに根ざした栄養学です。

勉強を始めてから少し経ち、同じチームのエースピッチャーのお母さんから、子どもの食事について相談がありました。すごく素質があり、もっと伸ばしてあげるために自分が出来ることは何かと悩んでおられました。そのお母さんは料理が少し苦手と思っているということもあり、「このお母さんに自分が勉強した知識を伝えたい」と思いました。

そこから更にテキストを集め、読み込み、レッスンに組み立てるまで3年を要して、4年目にやっとレッスンとして確立しました。

栄養学をレッスン、レシピに落とし込むにはかなりの工夫が必要でした。

例えば、「アミノ酸を取りましょう」と伝えるだけでは当然レッスンにはならず、「どんな料理をどのくらい食べればアミノ酸が取れるのか?」まで落とし込む必要があります。栄養学の座学は8項目にまとめ、その8項目を知識としてお伝えし、その座学とレシピとを結びつけたレッスンを行います。

「筋力アップを目的とするなら、このような料理を、このような食べ方にしないとならないので、ごはんはこうして、お弁当にはこれを入れて、冷凍はこれとこれを一緒に・・・」というように細かいところまでレシピとしてお伝えします。そこまで落とし込み組み立てるのに3年がかかりました。

【アスリートフードレッスン】の反響

お仕事をされているお母さんも多いので、当初の予定では、月に1回の座学を受講していただき、8か月で終了と考えていたのですが、現在は、月に1回来ていただいて、その日に2つの座学を受講し、4ヶ月で終了させるというお母さんが多いです。多くのお母さん(生徒さん)が早く知識を得てお子さんに還元したいと思っているからこその通い方だと思います。お母さん(生徒さん)のお好きなようにレッスン日を決めて行くのでどのような受講の仕方にも対応しています。

アスリートフードレッスンは、座学とレッスンの間に私が作ったランチを食べて頂きます。

献立の詳細、組み合わせなど見ていただきながら献立例としてお伝えしたものをランチとしてお出ししています。たくさん見て頂きたいので夕飯並みのボリュームになってしまうのですが・・(笑)

最近では、スポーツクラブチームからご依頼を頂くことが増えてきました。

八王子ビートレインズ※1東京都八王子市を本拠地としたプロバスケットボールチームというプロバスケットチームからアドバイザーとしての参画をご依頼いただいた時は、大変驚くとともに嬉しく思いました。U-15の中学生チームに所属する選手のお母さん向け講座も担当しました。他には野球、サッカーのクラブチーム様、部活動への講座も行っています。

そのような形で、当初はスポーツ栄養学を知りたいというアスリートのお母さんに集まっていただき講座を開いていましたが、個別に通いたいという反響から徐々に広がり現在に至ります。

ブログからも反響がありました。まだアスリートフードレッスンを個人宅でやっている例は全国でも少ないからかも知れません。

レシピを多くの生徒様にお渡しして、ご自宅で作っていただいて、「お母さんが作ったごはんおいしい!」とご家族に言われて喜ぶ生徒様が増えていくことが目標で、それを実現出来ていることがうれしく思います。

夢は「アスリートフードレッスン」の書籍化

現在は、家庭用レッスンの比重が高いですが、今後は少しアスリートレッスンの比重を高めようと考えています。

家庭料理のレッスンでは、生徒さんが日々より前向きにご家族に食べてもらう食事をつくれるように、ごく一般的に家庭にあるキッチン、調味料、調理器具で作れる料理を今後もお伝えしていきたいです。家族から「すごく美味しかった」と言わる喜びを感じて欲しい、私も子どもや主人から美味しいって言われるととても嬉しいから。そこは変わらない想いです。

アスリートフードレッスンも根本の想いは一緒です。違いとしては、座学の知識も入るので、結果として「美味しい」だけではなく、「活躍した!」とか、「スポーツ推薦で高校が決まった!」とか、お母さんとお子さんが目指している結果に向けて活用いただけるレッスンなので、比重を高めていけたらと思っています。

また、今後の展望としてはアスリートフードレッスンを書籍化したいと考えています。

民間の資格はたくさんあるのですが、そのテキストにはレシピの細かい手順が載っていないものが多いのが現状です。私自身、週に1回買い物をして献立を考え、ちょうど1週間で冷蔵庫が空っぽになる、というサイクルで回しているので、普通にスーパーで売っている食材で、1週間で順序良く使いきれるような内容にしたいと考えています。

某プロ野球チームの寮母さんのレシピ本などはあるのですが、それはプロチーム向けであってご家庭向けではありません。同じ食材を使ってスポーツを頑張るお子さん用、メタボ予防のお父さん用と目的の違うごはんを作り分けられることができ、極力買い物は少なく、というような主婦目線、お母さんの目線に沿ったレシピ本をつくることが目標です。「お子さんの筋量を増やしたい」「体重を増やしたい」などに応えるレシピを作りつつ、中年太りのお父さんのご飯を一緒に作る(笑)など、そんな本を作りたいと考えています。

仕事に、子育てに、日々忙しく過ごすお母さんが、より前向きに自信をもって家族に料理を提供できるよう、今後も取り組んでいきたいです。

References
1 東京都八王子市を本拠地としたプロバスケットボールチーム

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